日本の旅 鳥取県

果てなく広がる幸せの風味 牛骨ラーメンいのよしと白壁土蔵群の街、倉吉  鳥取県倉吉市

記録的な猛暑を観測中の今年の夏…皆さんいかがお過ごしでしょうか。
夏好き人間な僕も、さすがに今年の暑さは身にしみる…いや、身体の芯にこたえる。

…歳のせい?

汗を大量にかくのがこれほど疲れるとは…

 

ところで。皆さんは夏に食べたいものと言えば、何を思い浮かべるでしょう?

スイカ、トマト、キュウリなどの果物や野菜。
アジ、イワシ、ハモなど夏の魚たち。
お蕎麦、素麺、カレーも夏のイメージかな。

 

その季節に自然と思い出しては食べたくなる物ってありますよね。特に今年のように猛烈な暑さの時は、サッパリあっさりとしたものが食欲なくても食べやすいし。

で。僕にとっての「ザ・夏」な食べ物…

 

「牛骨ラーメン」

汁あっつあつの。

何っでやねん!!このくそ暑い夏に、冷麺じゃなく熱いラーメンって。外で散々汗かいて、ラーメン食ったらよけい汗ボタボタかいてしまうわ!!

 

…はい。かきますね、汗。
でも一回は(何回でも)食べとかないと、夏、越せないんです。この猛暑で、実は今年まだ食べに行ってなくて。
いや、食べて熱くなるのがヤだからじゃないですよ、うん。味はね、
ホンマ旨いですから。

さ、行きましょ。鳥取は倉吉に美味しくて評判のお店見つけてるんです。せっかく行くんだし、倉吉の白壁土蔵群も観光したりして。ね?楽しそうでしょ?
はい、出発♪←(強引w)

 



 

今回僕が目を付けたお店は、鳥取県は倉吉市にある『いのよし』さん。
鳥取に数ある牛骨ラーメン店の中でも、1,2を争うと評判のお店なんです。ちなみに以前食べた『香味徳』さんも鳥取では牛骨ラーメンの老舗有名店でした。↓

https://tabelog.com/tottori/A3102/A310201/31003160/

今回のいのよしさん、開店時間が11時からなのですが、あっという間に満席になるらしい…今回は開店直後に入れるよう、かなり余裕を持っての出発です。

 

道の駅ひらふく

朝6時。
相棒のバイクに乗り鳥取へ。
鳥取自動車道に乗る前に、トイレ休憩にまずは道の駅ひらふくに向かいまーす。

 

バイパスと下道で2.5時間。兵庫県の真ん中より少し下、兵庫県佐用郡佐用町にある道の駅ひらふくに到着。
ここで少しお散歩したくて早く出たんですよね♪朝のコーヒー片手にのんびり周ってみましょう。

 

ここは江戸時代、鳥取藩の陣屋や本陣の置かれた因幡海道最大の宿場町。
今でも街道沿いには、かつての土蔵や建物が残ります。

 

 

因幡海道を外れ、少し東へ。JR作用駅があります。宿場町風に、雰囲気ある造りですね。
まわりは一面の田んぼです。

朝露を浴びて、稲が喜んでいるみたい。

 

作用川が流れています。川沿いには有名な平福土蔵群。

 

おっと、のんびり写真撮りながら周ってたら時間は9時をまわってます。いのよしさんに開店と同時に飛び込む為には、そろそろ出発しないと。

平福宿には他にも陣屋跡、色んなお寺や剣豪宮本武蔵が初めて決闘した場所、さらに近くには僕がよく星の写真を撮りに行く「西はりま天文台」など見どころがたくさんあります。
また別の機会に、佐用町平福を探索しましょうか♪

 

+++

 

鳥取牛骨ラーメンとは?

その名の通り牛の骨で出汁をとる鳥取県中西部のご当地ラーメン。
特徴は牛脂独特の甘味と香ばしさのある黄金色のスープ、ちぢれ麺で、具はもやしやネギ、チャーシューとシンプルな物が多い。店によってスープの取り方に違いがあり、醤油牛骨や塩牛骨、牛骨ちゃんぽんなどバリエーションもある。

〜Wikipediaより

僕が牛骨ラーメンを知ったきっかけは、ツイッターのフォロワーさんだった。
その方は一人鳥取の牛骨ラーメン店を食べ歩きながら、牛骨ラーメンを食べた人たちのツイートをリツイートされていた。美味しそうな写真に前々から魅かれていた僕は、数年前に初めて牛骨ラーメンを食べ、その奥深さに虜になった。

 

未食の人がその味をイメージするなら、まずビーフコンソメを思い出してほしい。
初めて牛骨ラーメンを食べると「あ!この味か!!」と思う。

でも二口目になると、コンソメとは一味も二味も違う事に気づく。

 

まず雑味が全くない。

コンソメの、飲み進むうちに感じてくる”飽き”が全く来ない。最後のスープ一滴に至るまで、最初の一口目と同じ美味しさで食べられる。

 

さらに牛骨風味の奥行きがすごい。

コンソメが”平面”とするなら、鳥取牛骨ラーメンはどこまでも”立体的”だ。スープを飲むと感じる広がりは果てしない地平線のよう。ずっとこのまま味わっていたいと思わせてくれる。

 

去年食べた香味徳さんのそんな味を思い出しながら、バイクを飛ばします。くう~、早く食べたいィ~!!

 

らーめん いのよし

海岸沿いの9号線を下り、そのまま179号線を南下します。
道の左右に多くの食事処を見ながら走っていると…

 

発見しました!!
時間は11時を少し回っています。まだ待ちは出てなさそうですが、お客さんが吸い込まれていきます。遅れてはなるまいっ!バイクを停め、さっそく店内へ!!

大きな店内ながら、一つ一つの席はこんな感じに余裕ある配置。これはゆったりと食事できそうで嬉しいですね♪
カウンターの他に、小上がり席、テーブル席もあります。

 

メニューの写真を撮り忘れてしまいましたが、醤油、塩、味噌(各500円!!)の他に辛口(650円)や牛スジラーメン(700円)などがあります。
またラーメンにライス、から揚げに漬物がつくA定食、から揚げの代わりに白身フライのつくB定食(共に800円)もあります♪

 

今日は後半スイーツも食べたいので、ここは醤油ラーメンを注文します。せっかくだし、チャーシューも追加トッピングで。
おお~(>_<)めちゃくちゃ楽しみ~!!!

 

来ました!!!

美しい!このシンプルかつ非の打ちどころないビジュアルに、立ち上る牛骨ダシの香り…これ、絶対ウマいやつや…割り箸を割る手が震える…

麺を掴んで口へと…

 

 

ウマーーーーー!!!!!ヾ(≧▽≦)ノ☆彡

 

めっちゃくちゃウマい!!!何これ!!!最高としか、最高としか言えん(涙)

麺リフトとチャーシュー。
麺は中太麺で少しちぢれています。チュルンとすすると美味しいスープがよく絡む。チャーシューは、色は薄く見えますがしっかりめの味付け。柔らかすぎず、固すぎず。これだけでビールのあてにできそう。もちろん麺との相性もバツグン。

何よりこの透明感あふれるスープ!!!
一口飲むとのどから鼻、やがて心にまで広がっていく牛骨の風味…どこまでもクリアーな、邪魔な味のない、夏空のようなこの味(ToT)
ウマい、ウマすぎる…

 

 

もう夢中ですすっては飲み、チャーシュー口にほり込んではまたすすり。我を忘れあっという間に完食しました。麺大盛りにしなかったことを激しく後悔しながらも、こんなにも美味しいラーメンに出会えた幸せが心と体を包んで。しばし呆けます…

 

文句なく100点!!いや120点!!!

ラーメンいのよしさん。ここまで美味しい牛骨ラーメンが他にあるのか、出会えるのかが疑問になるほどの実力店でした。ごちそうさまでした!!!

牛骨らーめんいのよし↓
https://tabelog.com/tottori/A3102/A310201/31000359/

 

 

倉吉土蔵白壁群

いのよしさんを出て、さらに179号線を南下します。お腹もふくれたし、倉吉の白壁土蔵群を見に行ってみましょうか♪

バイクを走らせること10分と少し。土蔵と町屋の町並み残る”白壁土蔵群”に到着です。

白漆喰に赤褐色の瓦、板焼きの板張りと石橋。
街を東西に流れる玉川沿いに、倉吉独特の白壁土蔵が建ち並んでいます。

 

倉吉の街は室町時代に打吹山にあった打吹城の城下町として街の原型が造られ、江戸時代に陣屋を中心に武家屋敷が造られていきました。
それぞれの土蔵には今は『赤瓦1~16号館』と数字が割り振られ、カフェやお土産、レストランとして利用されながら公開されています。

 

 

++

 

土蔵群の中心部から東へ歩くと、立派な門が見えてきました。

『大岳院』と石にあります。
どうやらお寺のようです。入ってみましょうか。

本堂も堂々としたお寺です。

ここは曹洞宗の名刹、大岳院です。開創は1605年。
ここには江戸時代初期、この地で没した里見忠義と8人の重臣のお墓があります。

(里見忠義と八重臣の墓)

里見家は元は安房の国(今の千葉県は房総半島辺り)の大名でした。
徳川家のおぼえめでたく、幕府老中の大久保家より嫁を取るなど一時は9万石の国持大名の列に加わっていました。
ところが老中大久保忠隣が政敵本多家との政争に敗れ失脚した事により、その連座(連帯責任)で鳥取倉吉藩三万石へ減封されてしまいます。
三万石への減封というものの、実際には4000石ほどだったそう。
ところがその三年後、無体にも鳥取池田家の家臣が倉吉の領主としてやって来、百人扶持の地行として倉吉を追い出されます。

そしてそのまた三年後の1622年、彼はとうとう病死します。
本人は何もしていないのに…何とも哀れなお話です…

 

主君忠義が亡くなった後、彼に付き従う重臣八人も彼の後を追い殉死します。亡くなった彼らの戒名には全員「賢」の文字が入りました。
後に有名な滝沢馬琴が「賢」の文字を「犬」に置き換え『南総里見八犬伝』を書きあげたと言われています。(諸説あり)

 

 

++

 

さて、歩き回って小腹が空きました。倉吉には知る人ぞ知る、スイーツの有名店があるんですよ♪

米澤たいやき店さんの白いたい焼きです☆

こちらのお店、昔ながらの金型で一つ一つ丁寧に焼いておられます。このたい焼き買うために、鳥取市内からもやってくる方が一杯おられるそうな。

焼きたてのたい焼きをいただきました。中のあんが外にもはみ出し、そこが軽く焦げてて香ばしいお味。サイズはそこまで大きくはないですが、甘いたい焼きをぱくっと食べると懐かしい感じが口の中の広がりますよ~。歩き疲れた体に、美味し優しいデス。

 

 

歩いていると、女の子のキャラクターがいたるところに。どうやら倉吉の街はアニメ作品の舞台にもなっているようですね。
こうして置かれているパネルも、違和感なくなじんでいる感じです。

気づけばそろそろ帰路に着く時間。今日はあっという間やなぁ。あまりの居心地の良さに、時がたつのを忘れてた。

照り付ける日差しは真夏の厳しさだけど、ときおり吹く風が路地を優しく通り抜けていきます。
倉吉に流れる時間は、そんな自然の優しさと昔からのおもかげがゆっくりと溶け合って、まるで熟成された上質のお酒の様な味わい深いものでした。

 

 

 

旅後記

牛骨らーめんが食べたくて、強引に始まった今回の旅。
”箸が止まらない美味しさ”とはまさにいのよしさんの為にあるような言葉だなと思います。スープ、麺、具材。全てが一体となって高いレベルでまとまっている。完成されているというか。ここまでとは!
一口目から最後のスープの一すくいまで、心から幸せを実感できる美味しいらーめんでした。

 

そして倉吉の土蔵群。
この日は本当に暑くて、カメラのファインダーをのぞいていても流れる汗が邪魔をするほどだったのですが、水の流れる溝と時折吹く風が体に心地よくて。
日差しに反射する白壁と赤い瓦、その向こうには夏草緑の打吹山。どこからか流れてくる笑い声が雲に吸い込まれていく。
初めてなのに懐かしくて。路地の向こうに、友達と駆けてく幼いころの自分が見えるような、そんな街倉吉。

少し”ひなびて”はいるけれど、ここは誰かにとっての、思い出の中にあり続ける場所なんだろう。

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