世界の旅 台湾

「千と千尋の神隠し」の町、九份と初台北、三峡にも行ってみた② 新北市三峡区三峡 台湾

2017/05/29

台湾二日目。

僕は布団の中で汗びっしょりで目覚めた。
昨晩の、ニンニクと生姜たっぷりのイカ炒めと餃子が効いたのか、身体はすごく軽くなってました。さすが中華料理。発汗作用満点やね。イケル!

時間は朝の五時過ぎ。体力も回復したし、シャワーを浴びて九份の早朝散歩に行ってみよ♪

雨は降っていないけど、今朝はすごい霧。遠くがぼんやり霞んでいます。
夜は人で溢れていた町も、朝は静か。提灯は灯ってないけど、朝霧の中、まるで別世界のよう。

歩いてると、なんだか不思議な気持ちになってくる。まるで現代じゃないような…

ほとんどの店はまだシャッターが降りているけど、お餅屋さんと昨夜見た芋圓のお店は開いて団子をこねていました。
ひと回りしたら買いに来よう。

 

そうそう、ここは九份老街の起点のセブンイレブン。
昨晩僕は宿にチェックインする関係上、基山街を逆から周りましたが、台北からバスで来ると、このセブンイレブンの見える手前のバス停で下車、横の入り口から老街に入っていくのが流れになるみたいです。
バス停は「九份老街」。これを過ぎると、バスは少し先へ行っちゃうようなので。結構勘違いされてる方が多いようです。まあ、どっと下車するので分かるみたいですが。
セブンイレブンが見える手前で下車です。

のんびりお散歩。夜とはまた別の魅力があります。自分のペースで、見て、感じて。
夜美しく灯る提灯と朝霧の中の静寂。
ここは丸一日いても、きっとそれぞれの魅力をじんわりと感じられるに違いない。

 

++

 

宿に戻るとちょうど八時過ぎ。一時間半くらい散歩してたな。ノブには袋がかけられて、ゴムでとめてある。持つとじんわり温かい。さあ、朝食食べよ(^-^)

朝ごはん 😛 シンプルなトーストサンドに、買ってきた芋圓。
お姉さんのようにシンプルで飾りませんが、なかなかどうして味のある美味しいトーストサンド。麦の絵のかいた紅茶と。あっという間に完食。

そして芋圓。こちらはタロイモの粉と小麦粉を練って茹で、お団子にしたものです。小豆や緑豆を入れて、さらっとしたぜんざいにした感じ。食感はクニっと弾力があって美味しい。35元(約120円)。温かいのと冷たいの、どちらか選べます。結構たくさんお団子入ってて、お腹も満足。

 

さあ、そろそろチェックアウトの準備。
布団を整えて部屋を片す。パス、財布を確認して荷物をリュックに詰めなおす。手を動かしながら今日の予定を頭に浮かべる。

  1. 九份から台北へ戻って昼飯
  2. 台北からもう一つの目的地、三峡へ
  3. 三峡から台北に戻って、ホテルにチェックイン。その後台北の夜景スポット、象山へ。
  4. 夜景を撮ったらその足で、台北一有名な夜市、士林観光夜市へ。

 

それほど詰め詰めなスケジュールではないけど、移動時間が少しかかる感じ。ま、明日は一日ゆっくり市内見れるもんな。

よし行こう!重みのあるリュックを、グッとかついで宿のドアを開ける。昔からこの瞬間が、僕はたまらなく好き。

また来ます、九份!

 

++

 

朝の濃霧はだんだん薄れて明るさが増してきました。今日も雨は大丈夫そう。
戻りは直通バスで台北へ。眼下に九分老街のバス停が見えてます。

 

バスの車内は日本人の若い男女三人組と僕、地元の方一人だけ。
三人は最後部席に陣取り、バス内に聞こえる声で談笑している。以前行った国々と知り合った人の話みたい。
僕はぼんやりそれを聴きながら、窓の外の流れる景色を見ている…。

 

++

 

バスは小一時間で市内に到着。MRTの台北駅からふた駅東の忠孝復興駅付近に着きます。
時間は11時をまわってる。意
外と時間がかかってしまった。どこかで軽く何か食べて、三峡へのバス乗り場のある永寧駅へ行きましょう。
そういや
裏手の方に、出店や小さな食堂が見えたな。行ってみよ。

デン!!スライムじゃありませんよ。こちら、肉圓(ロウユィエン)と言います。

サツマイモのデンプンで作られたプニョプニョの外身に、肉やシイタケなどを入れた、餅のような食べ物。スープに浸かって供されます。
食感があんまり…って人もいるみたいだけど、台湾ではポピュラーな食べ物。今回の旅で絶対食べたかった物の一つです。2ケ入りで30元だったかな。

まわりはトロントロンで、スープにはこちらも香菜が浮いていて独特の風味。でもおいしーい 😀 五個くらい食べたい感じやな(^^)。見た目ほど熱すぎなくて、サッと食べて出発するにはもってこいな感じ。
がっつり食べようかとも思ったけど、三峡にも美味しいものたくさんあるやろうし、これだけ食べて、移動開始~!!

 

三峡

三峡は台北市のお隣新北市と、空港のある桃園市の境目に位置する街。

MRT板南線の永寧駅から駅前のバス(路線NO,916)に乗って20分ほど。「三峡老街」で下車します。

おお~!この雑多な感じ!通りの両側には食堂やお店が並び、その前にはパラソルさした露店で果物や野菜なんかを売っている。三人乗りのバイクがいて、そのすぐ横に車が走ってクラクションが鳴らされる。
いいね~、この感じ♪台湾にもこんなアジアな場所、やっぱあるんやな~。とりあえず老街散策したら、そのあと裏道歩いてみよ♪

 

清水祖師廟(三峡)

老街の入口を左へ。すぐにここ、「清水祖師廟」が見えてきます。

台湾には三つの清水祖師廟があるらしく、一つは淡水、もう一つは艋舺、そしてここ三峡にあります。

中国は北宋の人、清水祖師を祀っている廟で、これまで大地震、日本軍の攻撃、そして経年による痛みの為、三度こちらは復興されてきました。
この三度目の修復は、現在も進行中。1947年から始まった修復作業の責任者は、台湾のアントニオ・ガウディと呼ばれる芸術家、李梅樹教授。絵画でも名高い教授の手によって、西洋美術的色彩も感じられる修復は教授が亡くなった今も、少しずつ進められている。

三重になった透かし彫りの柱。寺院だけれど、圧倒的に芸術的。こんなのどうやって彫るんだろ。

天井もこれもん。じっと見入ってしまう。さすが台湾のガウディさん。(ピンボケですいません 😥 )

この清水祖師廟には、台湾に行く機会があれば是非とも見てほしいです。ほんとすごいですから!!

さて、この祖師廟のまわりにはたくさんの露店が並んでいて、まるでお祭りの縁日のよう。みんな何かほおばりながら散策していますね。僕も食べよ♪

「花枝丸」という、まあイカ団子です。スパイス結構かかってて、ビールが欲しいw
こいつを食べつつ、三峡のメインストリートに行きましょう♪

 

 

三峡老街

道を少し戻って左手。日本統治時代のレンガつくりの通りがあります。ここが老街のメインストリート。

この通りは日本統治時代に赤レンガを日本から運び込んで、最新建築技術で完成させたのだそうです。
独特の風情があって、まるで西洋の通りのようでもあり、でもどこか和を感じる不思議なところ。

こんな感じでゆるくカーブしながら通りがあり、両サイドのお店の前はアーチ状になり、雨に濡れずに歩けます。

こちらは三峡名物、「金牛角」。三峡版クロワッサンです。これはプレーン味。
食感は日本で食べるサクサクのと比べると固い…これ、しっかりとパンですね(*^。^*)それにバターの風味がすごくします。
素朴な味が美味しいです♪
ある店が始めたのが人気を呼び、今では数店のお店があります。このプレーンにメロンパン生地を巻き付けたのが人気なのだとか。他にもハニー味やチョコ味なんかもあり、ちょうど僕らがミスタードーナッツを買っていくような感じで、みなさん複数個買っていかれてました。

 

人は多いけれど、それもまた楽しい。いろんな店をひやかしながら食べたり飲んだり。
台湾なんだけど、懐かしい感じがする…和中折衷、かな 😀

 

 

++

 

いい時間になり、この後の台北の予定を考えるとそろそろ戻る方がいいかなと思いながら裏通りを歩く。

地元の人たちが暮らす場所は、通り通りに生活のにおいがします。
干された洗濯物、うらがえしのたらい、さびたバイク。肉まん売ってるおじさんが、お客のおじさんと何やら話し込んでる。
座ってじっとこっちを見ている猫…。

 

観光地はもちろん見応えあって楽しいけれど、そこから少し離れて土地の人たちと同じ空気を吸ってみると、ぐっとそこが身近になる。いつもの暮らしを感じられます。

 

 

そんな中、ふと通り沿いにあった小さな看板。

魯肉飯 15元

…そういえばまだ魯肉飯食べてないなぁ。旅も半分は過ぎたし、つまんでばっかでご飯もの食べてないし。
でもなんかここ、めちゃローカルのお店やな。店内も狭くて、ちょっと暗め?
しかし台湾ご飯が安いって言っても15元はすっごく安い。50円位やん。普通でも30元はするよね…老街の店は並んでたし。どうしよかな…

うん!入ってみよ!旅は挑戦やで!!

 

店内は入り口近くに仕切りのないキッチン。壁沿いにカウンターが付いてて、壁を向いて食べる感じ。椅子が五脚。店の奥には四人掛けテーブルが一つのみ。
音楽が流れるでもなく、キッチンでご飯を盛りながらお客?のおばあさんと話すおばさん。カウンターの一番奥におじさんが黙々と食事している。

 

キッチンのおばさんがこちらを見ずに何かを言った。「いらっしゃい」なのかな。
話してたおばあさんと目が合う。ジロッという音が聞こえそうな目だった。

僕はキッチンのおばさんに、魯肉飯?と言うと、おばさんはこっちを見て「…OKOK」と言って用意を始めた。

 

カウンターの一番出口側に座る。

上着を椅子に掛ける間も、隣でおばあさんがずっとこっちを見続けてる…
と、何か言い始める。手のひらを上にして、何かを持つように。どうやら器の大きさを教えてくれてるみたい。

「大はこれくらい。小はこれくらいだよ。どっちがいいの?」

僕は小と言うと、おばあさんはキッチンのおばさんにそれを伝えてくれた。ニコリともしないけど、親切なおばあさんかも(^-^)

お椀は小さいけど、たっぷりご飯の盛られた魯肉飯!小さなお肉とニンジン、たまねぎが甘めに煮られたものがかかっています

ガイドブックに載ってるような魯肉飯とはだいぶ違うし具も小さいけど、とてもいい匂いです 😛
財布から15元を取り出すと、それを見ていたおばあさんは、

「トゥエトゥエ」

と言った。そうそう、と言いましたね、たぶん(^.^)

いただきますー。一口食べると…うわ、ウマい!!
甘めのタレの染みた具がご飯にじわっと味をつけて、ちょうど鶏の手羽を野菜と煮込んだあの汁がご飯に染みたような。
派手じゃないけど毎日でも食べたいよ、これって感じ。『いつもの食べ物』感が満載で、まさにローカルフード。
僕がお椀を持ってかき込むように食べだすと、おばあさんは何か言って出て行った。食べながら、謝謝と僕はお礼を言った。

 

おばあさんの後、すぐに隣の席に僕と同い年くらいの男性が座った。彼はキッチンのおばさんに魯肉飯の大と何かを注文した。
ちらっとこちらを見たようだけど、僕は気にせずガツガツ食べている。
お椀のご飯が終盤に差し掛かるころ、おばさんが隣の彼にご飯を運んできた。

そしてスープを一杯、僕の前に置いた。

おばさんを見ると、笑って隣の彼を指した。
彼は少し微笑んで、うなずいた。

 

…その時の僕の気持ちを、何といえばいいだろう。

 

彼はご飯だけ食べてる僕を見て、心ん中で笑ったのかな?
リュックしょってこんな食堂で、こんなに安いのケチるなよ、とか思った?

どーでもいいよ、そんなの!!!(>_<)

一杯のそのスープが、ホントに、本当に僕はうれしかった!
言葉も交わしてない、ただ隣り合わせただけの旅行者に、笑ってスープをご馳走してくれたその気持ちが、親切が。
できるか、そんな事僕にできるか、こー!!!

スープには、とろろ昆布みたいなのが入った、透明なスープ。僕はそれをご飯の時とは違って、ゆっくり味わいながら飲んだ。
そんなに濃い味ではない、優しい味。スープの表面には、目じりにしわのできた嬉しそうな僕の顔が映っている。

 

飲み終わって店を出る時、僕は隣の男性に心全部で「謝謝」を伝えた。
そしてこの小さな店にいる、もう一人の食事中のおじさんと、店のおばさんにも大きく「謝謝」を言って頭を下げた。
みんなニッコリ笑って、うなずいたり手を上げてくれた。

 

 

台北へ戻るバスの中で、僕はあの小さな食堂の人たちの幸せを心の底から願いました。

 

 

~③へ続く

 

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