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「まさにダンジョン!地下に広がる無限の世界 千仏鍾乳洞と牡鹿鍾乳洞③」  福岡県北九州市小倉南区

洞窟を出たとたん温かい外気に包まれました。光のまぶしさに、一瞬目がくらむ。

「あぁ、出てきた。」

無事現実の世界に戻ってきました。券売り場と売店、向こうに見える木々の緑。入ったのと同じ場所。当たり前なんだけど。

半分の安堵感と半分の残念な気持ち。もっともっと先へと行ってみたい気もしたけど、今日の装備ではそれは無理。うん、真夏にならあの先へ行ってみるのもいいかもしれない。水に入るのも気持ちいいだろうし。でもそれって一人でいってもいいのかな…。危険度も上がるだろうし、おそらく道も平坦ではなくなるだろう。もう少調べてみないとな。

 

 

ちょうど時間はお昼頃。
今からもう一つ鍾乳洞を探検するし、そこに行くまでの徒歩の道のり考えると、ここで何かお腹に入れとかないとまたお昼抜くことになりそう。食堂なんて来るまで一軒もなかったしね。

おにぎりや「カルスト饅頭」なんてさっと食べられるものもあったけど、お昼はこちらをチョイス。鍾乳洞内を探検してたら、少し身体が冷えてた様です。足元は水の中だったし。
値段は400円くらいだったけど、味はなかなか本格的。特にお蕎麦は出来合いじゃなく、手打ちな感じの食感でした。まぁ、ホントのとこは分からないですが(笑)

食べるとじんわりと体に染みるように温かさが広がって。美味しく頂きました♪ごちそうさまでした!
メニューは他に、うどんや牛丼、親子どんぶりなどがありましたよ 😀

 

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さて。お蕎麦でお腹も落ち着いたし、はりきって次の鍾乳洞へ向かいましょう!お次に僕が目指すところは、「牡鹿鍾乳洞」。ここも「千仏鍾乳洞」並みにインパクトある洞窟みたいです 😆

 

千仏鍾乳洞から牡鹿鍾乳洞までは歩きで25分。途中までは緑のある中を歩きますが、そこからは陽を遮るものがない道。今日はうす曇りの天気だからいいけど、歩くなら真夏は日差し対策が必須です。

”カルスト台地”というやつですね。御覧の通り見事に石灰岩の岩が点在しています。ここ平尾台は”日本三大カルスト”の一つで、国の天然記念物に指定されています。羊が群れてるみたいに見えることから、”羊群原”って場所もあるみたい。

風が気持ちよく吹き抜けていきます。道は一本道で鍾乳洞に向かう車が走りますが、僕はのんびり写真撮りつつ。広くて独特なこの眺めを満喫しながら歩きます(*´ω`*)気持ちよくて最高やなぁ。テクテク。

 

「牡鹿鍾乳洞」

あっちでパシャ、こっちでパシャ。う~ん、絵になるなぁ♪気が付けば牡鹿鍾乳洞に到着しました。
こちらの休憩所兼券売所でお金を払います。中学生以上500円、小学生は300円。

ここも入口には坂を降っていきます。でも千仏鍾乳洞ほどの長さはないみたい。あと入り口に「この鍾乳洞は水の中は歩きません」って書いてました(笑)

いざ、出発~(^^)/

これが牡鹿洞の入口。
わかりますか?この鍾乳洞は日本でもかなり珍しい、縦穴タイプの鍾乳洞です。高低差は約50メートルあり、最初にこの鉄階段で30メートル一気に降ります!!
初めてこの鍾乳洞を知った時、この垂直にどんどんもぐっていく鍾乳洞に大興奮して。千仏洞もすごいけど、ここも絶対行かないと、と決めたのです。

この入口から空気はひんやりに変わります。僕ののほほんムードも瞬時に探検モードへ。

 

 

 

 

ずんずん降りていくと…

 

 

 

すっごくないですか!?いや、写真は未熟ですが…この眺め|д゚)

これは下から入口を眺めたところです。階段を降りきると広い空間になっていて、そこからは二ホンカワウソや二ホンシカ、ナウマンゾウなどの化石が出土しています。まさか上から落っこちたのかな… 😥

 

ひとしきり上への口を眺めた後、洞窟探検を再開します。

ここは各所で下への階段が。横移動の通路もありますが、下へ下へと進む通路が多い。それが何とも言えない高揚感を生みます。

長い下りの石段。明るいけれど、その先は見えない。

…恐ろしい怪物が、長い剣を片手に階段を昇ってくる…そんな妄想が頭をよぎります|д゚)

中を歩きはしないけど、横には地下水の川。本当に澄み切った水に見えるけど、飲めたりするんだろうか。もちろん飲みはしないけど、見てると美味しいよって言われてる気がしてくるのは僕だけ?

小学生のころ、西洋のファンタジーに惹かれて色んな小説やゲームブック、映画を見たのを思い出す。トカゲの戦士や恐ろしい顔の怪物、空を飛ぶ竜…
この鍾乳洞の色は、昔僕がイメージしたダンジョンそのままの色。

 

 

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通路が向かうのはさらに下。地下水も一緒に下へと流れる。残念ながら足が良くない方はこの鍾乳洞は無理だと思う。

階段は僕を吸い込むように下へ下へと続く…

本当にこのままいつまでも降りていくのではと思い出したころ…

 

 

最後の部屋。

赤く照らされた最後の空間に着く。水だまりのできたそこは、天井からの水滴や壁を伝い流れる水が光を反射している。赤く、いや黄金色に。まるで全体が財宝の光で輝いているかのように。

ここも千仏洞と同じく、壁の下に小さく別の場所への空間が見える。しかしこちらははるかに小さく狭い。実質ここが行き止まりのようだ。

この”財宝部屋”をぐるりと見まわし、僕は引き返すことに。タクシーのおいちゃんとの時間もあるし。

牡鹿洞の探検可能な最深部まで来れたことに、僕は結構満足した。

 

 

 

 

 

++

 

タクシーと電車で小倉へ戻り、時間通り僕は兄貴とお母さんと再会した。もちろんタクシーのおいちゃんに預かってもらった手土産も持って。
その夜は二人の家で再会を祝って乾杯した。お母さんの美味しい手料理を食べながら、二年間の空白を笑ったり反省したり。

楽しく飲みながら、ふと牡鹿洞の”最後の部屋”が頭をよぎった。
深い深い洞窟を降りたその先にあったあの場所。水に濡れた岩やキラキラ光る水面が、金銀財宝の様に輝いていた。まるで洞窟の深部に隠された、”財宝の部屋”のように。

 

僕にとっての”財宝の部屋”はここだな。

二年たっても変わらず再会を喜んでくれる二人。そのうれしさと誇らしさに顔がニヤけた僕に、二人は優しく笑いかけていた。

 

 

【旅後記】

今回のお話はいつもより写真の多い内容となりました。なるべく鍾乳洞の雰囲気をお伝えしたくて。

牡鹿鍾乳洞を出てから徒歩で5分の場所に「平尾台自然観察センター」があります。ここは「おでかけ交通」の乗り合いタクシーが着く停留所であり、鍾乳洞やカルスト台地の観光拠点です。内部は平尾台の自然に関するたくさんの資料が楽しく学べるようになっていますよ。JR石原町からおでかけ交通を使えば、ここからのスタートとなります。

帰りにタクシーのおいちゃんの語ったところでは、夏になると水着持参で「地獄トンネル」の先へ進む人は結構いるらしい。ただあの先はリスクがかなり高くなるので、ガイドを雇っていく方がいいそうです。ある所は地下水のシャワーを浴びながら。ある所はつるつるの岩肌を移動して。おいちゃんが乗せたタクシーのお客さんの中には、女性で先に進んだ強者もいたよって言ってました。
ちなみにガイドさんは、平尾台自然観察センターで手配するようなことをおっしゃってました。

詳しくはこちらで

http://www.hiraodai.jp/hnoc/

 

ただ大型連休などでは鍾乳洞内も大変混雑して、すれ違うのにも苦労するみたいです。今回は内部で出会ったのは千仏洞で三組、牡鹿洞では一組のみで、存分に冒険気分を満喫することができましたが。
一年を通しての洞内の気温は16℃と、夏は涼しく冬は暖かです。ただ千仏鍾乳洞の方は水に入ります。身体が冷えるといけないので真夏でも一枚薄手のシャツなどがあるといいと思いますね。

一般的に鍾乳洞は、構造上どうしても危険な場所が多くなる為、立ち入り禁止が多くなり「遠くから眺めながら歩く」事になりがちですが、この千仏洞と牡鹿洞は、見るだけじゃなく、身体全体で感じながら探検できるスポット。もちろん十分に気を付けないといけない場所も多いけれど、だからこそ「自分の力で進んでいく事」を体感できます!

 

子供はもちろん、大人も一緒にドキドキ冒険できる「千仏鍾乳洞」と「牡鹿鍾乳洞」。
日本全国に鍾乳洞は数あれど、冒険者となって子供はもちろん、大人もハラハラドキドキ楽しめること請け合いです!!
これからどんどん暑くなっていく季節。家族で、カップルで、もちろん僕のように”孤独の冒険者”を気取って(笑)

リアルダンジョンは北九州にあり!!ヾ(≧▽≦)ノ

 

 

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